FEARが毎月配信しているWEBラジオ「ふぃあ通」(http://www.fear.co.jp/radio/fearradio.htm)に「鈴吹太郎のGM講座」というコーナーがある。 鈴吹社長が講師となり、きくたけ先生やゲストの方を交えてGM講座をするコーナーだ。 今回のテーマは「ダブルハンドアウト」。 いわゆる「表ハンドアウト」と「裏ハンドアウト」というものだ。 FEARの製品では「NOVA」と「DX」に搭載されているシステム。 システムによって色々呼び名はあるが、可読性を重視して今回の感想では「裏ハンドアウト」で統一していこうと思う。 ラジオ内でも解説されているが、一応説明すると以下のような感じ。 ・表ハンドアウトはシナリオ開始前に全員に公開される。 ・表ハンドアウトを選んだら、それに対応した裏ハンドアウトを本人だけが見る。 ・ゲームによるが、裏ハンドアウトを公開するためには条件があり、公開するとなんらかのボーナスがもらえたりする。 ちなみに、NOVAだと「全員公開すると面白くなるように」シナリオが作られているらしい。 シナリオ開始時に「全員公開を前提としてます」みたいに宣言するようにガイドがあるとか。 逆にDXでは全員公開しなくてもシナリオが終了するように推奨されてるらしい。 以上がダブルハンドアウトのおおまかな説明。 で、ここからが本題。 社長がお題を「ダブルハンドアウトの面白いところはどこか?」と指定。 各人の答えはこちら。 小暮さん「やったことないけど、演技者としてはとても面白そうに思う」 からすば晴先生「PLが裏ハンドアウトを公開する時に盛り上がりが起こる。その瞬間が面白い」 きくたけ先生「作るの難しそうに見えるけど、実はすごく面白い。 普通は情報公開のタイミングを色々考えてギミックとして仕込むが、 PLが自発的に最も面白いと思うタイミングで面白く情報公開をしてくれるのが面白い。 シナリオの納得力も上がる」 といった感じ。 ここから鈴吹社長の解説タイム。 今回は長かった。まとめ大変(苦笑)。 鈴吹社長「GMにとって、情報開示のタイミングをコントロールできなくなる意外性がある。 そこはGMがPLと同じように予想ができなくなって面白い。 あと、同じシナリオを何度もするとGMは面白いはず」 鈴吹社長「作るの難しいと言われるけれど、 実は普通に判定してわかる情報を裏ハンドアウトに入れておくだけでいい。 それだけでPLにとって『俺だけが知っている情報を公開する』という凝ったことをやった気持ちになれる」 鈴吹社長「まとめると、PLが裏ハンドアウトを開ける瞬間が面白い。 だからこそ逆に注意しなければいけないのは、裏ハンドアウトにある情報を他の手段で知られるようにしてはいけない。 NOVAのルールには『神業を使っても裏ハンドアウトの内容は知ることはできない』と書いてある。 一番面白い瞬間である『裏ハンドアウトを開ける』という瞬間を奪ってはいけない。 GMとしてはつい保険をかけたくなるが、そこはPLを信頼して、情報公開のタイミングを任せることが重要」 で、ここから視聴者のお便り紹介と回答。 今回は本当にコーナーが長い(笑)。 視聴者「どんでん返しの塩梅が難しい。PC間の敵味方バランスを保ったまま意外性を作る方法が知りたい」 鈴吹社長「確かに難しい。『実はそうだったのか』が面白いポイントなので、 実は味方だった。実は敵だった、というのは面白いが信頼できなくなってしまうとゲームがなりたたない。 PL人数分の意外性のある裏ハンドアウトを仕込むのはほとんど不可能。 ただ、裏ハンドアウトは必ずしも『シナリオ進行に関わる情報』でなくてもいい。 例えば『PCの動機』を仕込んでもいい。 表には『金が必要』と書いて、裏には『実は敵討ちが目的』みたいにする。 すると裏ハンドアウトを開けた瞬間に 『金なんてどうでもいい。敵討ちが目的なんだ』というRPが必要になって、かっこよくなる。 実はこれは全然シナリオ進行には関係ないが、かなり盛り上がる。 こういう動機の裏ハンドアウトを4人中半分ぐらいにして、 シナリオ進行に必須な情報を1~2人に仕込むと、バランスよくなる」 さらに視聴者からもう1通。 視聴者「DXのダブルハンドアウトルールが記載されたユニバーサルガーディアンが買えない!」 鈴吹社長「誠に申し訳ございません。 KADOKAWAで絶版になってしまっている最新版ルールブックを電子書籍として発行するプロジェクトが動いてます。 そんなに遠くない未来に実現できそうです。具体的な発表は2018年頭ぐらいを待ってください。 ゲームフィールドの本はブックウォーカーで電子書籍化どんどんしてます」 最後にテクニックではない宣言オチをつけて今回のお話は以上。 ダブルハンドアウトってフィロスは作るの苦手意識があったんだけど、 TSさんGMのときにめちゃめちゃ面白い裏ハンドアウトとかあったし、 今回のを聞くとやってみたくなるよね。 全体は長かったけど、まとめると以下のような感じかな? ・裏ハンドアウトを公開する瞬間が盛り上がる。(シナリオに盛り上がりを何ヶ所か作れる) ・裏ハンドアウトに仕込むのは「公開しないといけない情報」を1~2人。動機的なのを2~3人。 ・普通に判定でわかるような情報を裏ハンドアウトにすればいい。 ・重要なのは、裏ハンドアウトの内容を他の手段でわかるようにしてはいけないこと。 次回のテーマは「ハンドアウトの書き方」。 社長曰く、今回はちょっと突っ込みすぎ、マニアックすぎた、とのこと(苦笑)。 次回はもう少し広範囲な話をするらしいですよ。 ……といってもハンドアウト周りのテクニックはとにかくたくさんあるからなー。 どこに焦点を当てるかで逆に難しいのではないかと思ったり。 フィロスがシナリオ作成するときのハンドアウトってのは基本的に「オープニングフェイズの予告」だからなー。 今回予告とかトレーラーがシナリオ全体の予告だとしたら、 ハンドアウトはそのPC個別導入のためのオープニングフェイズの予告にしちゃう。 そうするとPCが「シナリオで何をしたらいいのか」「どんな立場なのか」「シナリオ開始時に、どこに、どんな風にしているのか」が大体把握できる……はず。 まあ、これ以外の使い方もよくするから、どのように議論をまとめるのかが楽しみですね!
by phirosu2
| 2017-11-04 09:41
| TRPG雑感
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