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死人工場
【TRPG感想】
先日はソウさんがGMのネクロニカ(注1)でした。

何かと話題のネクロニカ。
やっと初プレイすることができました。
ぶっちゃけフィロス好みではないこのシステム。
やってみて面白い部分もあったのですが、やっぱりなぁ(苦笑)。

また、今回のGMのソウさんの特徴も相まって……面白かったことは面白いのですが、なんともごにょごにょな感想になりそうです。
フィロスの毒に耐性のない方はUターンして今回の感想は読まないほうがいいかもしれません(苦笑)。

一応、書いておくと、これはフィロスの個人的感想です。
立場が違えばものの見え方は変わるのと同様に、違う視点に立てばネクロニカというゲームもソウさんというGMも素晴らしい点があることはフィロスも理解しているつもりです。
ただまあ、言わずにはいられないものもあります。
今回はそういう毒を含んだ感想です。




◆キャラクター紹介
■名前(PL名):マリオン(kou)
性別/年齢/種族:女/9/ドール(注2)
クラス:ジャンク/バロック/ステーシー
ゲーム的特徴:
サンプルドール「きぐるいジャンク」を使用。
前線で仕込みブーツで蹴る蹴る蹴る!
攻撃特化キャラでした。

今回なぜか戦闘ではPCの出目が走り、ほとんど攻撃は失敗することがなく、攻撃PCであるマリオンは輝いてました。
支援込みとはいえ1カウントに3連続攻撃はすごかった。

ロール的特徴:
いつものkouさん節。
狂ったように妄言を繰り広げるわけだが、今回は元々そういう設定のドールなので対応はPCレベルで可能だった。
セッション終了後に本人も「いつも倦厭される狂気ロールが普通にやってていい世界観とPCだったから楽しかった」と言っていた。
色々言いたいことはあるが、ぶっちゃけkouさんがいなかったら今回のシナリオ全然面白くなかったろうから、結果オーライってところかなー。

その他:
事前の予想では最も警戒すべきトラブルメーカーだったが、セッション後の印象ではゲームを面白くしたムードメーカーだった。
う~ん、この辺りはその時々の感覚だからなんとも評価しづらいが、とにかく今回のkouさんはよかった。
ぎりぎりだけど(笑)。
GMの枠にはまらないという芸風が活きるという点では、kouさんはソウさんGMの下で遊ぶと映える、のかもしれない。

■名前(PL名):クロエ(グリフ)
性別/年齢/種族:女/14/ドール
クラス:コート/レクイエム/レクイエム
ゲーム的特徴:
サンプルドール「ひきがねコート」を使用。
今回唯一の遠距離攻撃ができるドール。
地味に連続攻撃とかあるので運がよければすごいのだが、今回一度も連続攻撃発動しなかったねぇ(笑)。
それでも前衛が打ち漏らした敵を的確にしとめるいいスナイパーでした。

ロール的特徴:
ヅカっぽかった(笑)。
ネクロニカのPCは全てドールと呼ばれる少女型の人形なわけだが、とても男らしかった。
マリオンを気遣う様はどこのイケメンムーブだという感じ。
猪突猛進のマリオンと及び腰のクラリスの間でいい調整役でした。
相変わらずグリフさんはそういう役どころが上手い。

その他:
突然前日に参加が決定したグリフさんです。
kouさんとソウさんの2人だけだと正直フィロスの手に余る!とびびっていたので、ほっとしました。
ただまぁ、結果的にグリフさんの調整能力よりもkouさんの暴走能力のほうが面白さを作りだすのに一役買っていたわけですが。
調整も暴走もどちらかだけでは成り立たないので良いバランスだった、と思うことにしよう。

■名前(PL名):クラリス(フィロス)
性別/年齢/種族:女/15/ドール
クラス:ソロリティ/ロマネスク/タナトス
ゲーム的特徴:
サンプルドール「しかばねソロリティ」を使用。
妨害キャラ、だけれども前衛もはれる。
ダイス目がよかったおかげで決めどころで大ダメージを出していた。
一番でかい敵をばらばらにできたし、一発がでかいタイプのPCだったね。

ロール的特徴:
他のPCのまとめ役。
いつものフィロス風。
ただ今回は狂気点(注3)がたまることを過剰に恐れて及び腰な感じ。
クロエが上手くサポートしてくれたのと、妨害キャラだったのでリーダーっぽい雰囲気は保てました。
よかったよかった。

その他:
ネクロニカのドールは基本的にみんな壊れた人形なのでグロテスクなのだが、中でも比較的まとも(注4)なしかばねソロリティを選んだ。
結果的にこれが非常にフィロスのやりたいこと(指揮・妨害・戦闘)と合致していたのは幸運だったように思える。
うん、今回はダイス目もよかったし、色んな幸運に助けられてなんとかセッションできたって感じがするなぁ(苦笑)。

◆粗筋
今回のシナリオはサンプルシナリオの死人工場を使用しています。
なので粗筋は割愛。

PC間の未練を決めるときにダイスで決めたのにそれっぽいものになるとかなかなか面白いこともあり、全体的にPLサイドで楽しめたゲームでした。

◆反省と考察
ロール:3点
ゲーム:3点
ストーリー:1点
ボーナス:1点

ロールは普通。
PCと絡むNPCが一切出てこなかったから、PC同士のかけあいのみだったし、普通。

ゲームも普通。
……いや、GMの準備不足を補ったという点ではシステム本体の評価は4点でも5点でもいいのだけれど。
これはセッション全体の評価なので相殺して3点で。
個人的にネクロニカの戦闘は楽しかった。
狂気点と対話判定という仕組みも面白い。
素材はいいが、あとは、GMがそれを活かせるかどうかだ。

ストーリーはやはり1点。
今回の話、ストーリーないもの。
ただのGMの吟遊詩人だもの。
ストレスとカタルシスが戦闘にしかなくて、シナリオ部分はまるでベルトコンベアに乗ってるような感じ。
あんなのストーリーとしては認めない。

確かにネクロニカはネクロマンサーと呼ばれる黒幕がいて、それがドールを苦しめる物語だから、どんな異常な、理不尽な、不自然な状況でも「ネクロマンサーがそう設定したから」と言えば許される。
PCレベルではそれでかまわない。
だがそれに甘えてPLレベルで伝えるストーリーとか流れとか盛り上がりを作るのを怠っては意味がない。
そのへんがソウさんは甘い。
甘いというか、むしろ手抜きだ。
今回ストーリーについてはマイナス点をつけてもいいぐらいだ。

というわけで、ボーナスも1点。
今までの評価だったら初めてネクロニカができたので4点か悪くても3点をつけるところだが、ストーリーのマイナスを含むためにボーナスは1点に。



○良かった点
・ネクロニカ初プレイ!
・kouさんの活きる場面を見つけられたのは僥倖。

○悪かった点
・ソウさんの悪いところがばっちり。


では、個別解説を。

・ネクロニカ初プレイ!
ずいぶんと前にβ版が発表され、ついに昨年発売。
β版も知っていたし、つぎはぎ本舗の久々の新作なのでとりあえず発売日にリプレイとセットで購入。
リプレイを読んだ段階では「まぁこんなもんかなぁ」というレベルだったが、ルールブックをパラ見してるうちにそこそこにちりばめられているイラストに耐えきれなくてとりあえず本棚にしまう。
フィロスってグロイのあんまり得意じゃないんだよね(苦笑)。
世界観的にディストピア系も好きじゃないし。

じゃあなんで買ったんだと言われそうだが「話題だったから」に他ならない。
なぜか周りでネクロニカに興味を持つ人が続出。
元々つぎはぎ本舗さんは好きなので、それも手伝って購入したわけ。

グロイのが苦手で閉じたルールブックだったが、実プレイしてみるとそこまでの印象ではない。
まー、どこまで描写するかはGM次第だしね。
戦闘で手足が千切れ飛んでいくのも、PLたちが笑いながらプレイしているとスプラッタというよりもギャグみたいに感じてしまった。
おかげで大丈夫だった。

というか戦闘の戦略性が複雑なのでそんな細かい演出のリアクションに意識を割かなくなったというほうが適切か。
リアクションしないわけじゃないんだけどね、気持ち悪くなってる場合じゃないって感じかしら。

戦闘は面白いし、世界観も最近見ないディストピア系なので色んな人の注意を引いたのかなーと今では思ってる。
ただまぁ、この世界観だったらフィロスがGMやることはないだろうな。

・kouさんの活きる場面を見つけられたのは僥倖。
kouさんの「妄言をただひたすらたれながす」遊び方は、フィロスは好まない。
どこまで本気かわからないので、リアクションしづらいというのがその理由だ。
ただ、今回はPCであるドールが狂っているという設定だったので、全てPC発言という解釈で対応したところ、非常に上手くいった。
むしろシナリオが面白くなかったので、kouさんのぽんぽん飛び出る妄言にリアクションしているのが面白かった。

つまり、kouさんの発言の悪いところは「線引きが曖昧なところ」にあったわけだ。
妄言を言うことが悪いわけじゃない。
PL発言なのかPC発言なのか。
PL発言だとしてもただの呟きなのか、リアクションしてほしいネタ発言なのか、本気で提案している発言なのかがわからないことが悪かったのだ。

なんかあれだな、表に「PL」、裏に「PC」と書いたカードでも持ってもらおうかな。
聞いてほしい発言をするときはその札を示しながら話すとか。
札を持たずにする発言は全てネタ発言だからスルーしてもよいとかそういうの(笑)。

まぁ、上記のアイデアは極端なネタだが、kouさんの悪いポイントを活かすために「全てPC発言だと解釈する」というのが有効な手段であることはわかった。
あとはこれを他のゲームでも応用できるように考えてみるか。
kouさんと今度相談してみよう。

・ソウさんの悪いところがばっちり。
はい、ここからフィロスの毒吐きが始まります。
心の準備ができていない方はお帰りください。


ぶっちゃけ、今回のセッション、システムもよかった。PLもよかった。
集合時間も終了時間も早すぎず遅すぎずいい感じだった。
笑いの耐えないセッションだったし、戦闘で各自活躍できたし、対話判定も3人それぞれの持ち味があって面白かった。
ただ、感想を書こうとしたときになんでかわからないがもろ手を挙げて「今回のセッション大成功でした!」と言えない感じがした。
自分の中でなぜかと分析したところ、それはやはりGMとシナリオにあった。

ソウさんの悪いところは「PLを見ないところ」だと前から何度も言っているが、それがばっちり適用されてしまったセッションであった。

今回、ソウさんは様々な準備をしている。
事前に特殊な世界観であることをかなりしつこく告知したり。
世界観用語集や判定などをまとめたサマリを作ったり。
ルールブック付属の紙コマをコピーして戦闘シートを準備したり。
本シナリオ前に模擬戦をやったり。
こうして書くととてもPLのことを考えているように感じる。

……だがしかし、それは違ったのだ。
やること自体はとてもいいことなのだが、あと一歩が足りない。
惜しい。
もう少しだけPL視点に立てればもっとよくなるのに、やったことだけで満足してしまっていたように感じた。

サマリはA4で4ページにわたり、ちょっと読んでいて量が多く、理解するには辛い分量。
紙コマはかわいいのだが、実際に使ってみると戦闘マップに大きさが合わず、結局フィロスの駒を使用。
模擬戦はいいのだが、段取りが悪く自己紹介もせずに始めようとして、「……で、あなたのことなんて呼べばいいの?」とかなっちゃう。

先日読んだ本にフィロスがとても共感できた一言があった。
「他人を気遣うためには、あの手この手を尽くして、さらにもう一手考える。この「さらにもう一手」が大事」
細部は覚えてないがこんな感じ。
「あの手この手さらにもう一手」

ソウさんの場合、「こうやったらPLさん楽になるだろうなー」という気遣ってる感じはあるのだが、それが少し的がずれていたり、少し足りなかったりすることが多い。
あくまでGM視点なのだ。
さらにもう一手がないのだ。

また、シナリオ終了後にサンプルシナリオを読んだ。
そして正直ソウさんはこのシナリオを事前に読んだのかどうか疑った。
軽くネタバレになるが、このシナリオは一本道である。
しかし、それが気にならないようにぐいぐい誘導するようにシナリオが書かれている。
初めてゲームをやる人向けのサンプルシナリオではよくある構造だ。
だが、ソウさんはそこに少し手を加えた結果、重要な誘導ポイントをすっとばしてしまっていた。
ソウさんがどのように考えてこの部分を抜かしたのかはわからないが、そのせいでPLたちは
「これ、進んでもいいことないってわかりきってるのになんで進まなきゃいけないんだろうね」
「進まないとGMが困るから、とりあえず進もうか」
「ネクロマンサーに仕組まれた罠なんだから進まないと仕方ないんだよね」
という会話をしながら一本道シナリオを進んでいた。

ネクロマンサーはドールを苦しめてその様を楽しむ。
それがこのゲームを支えている哲学である。
しかし、間違えてはいけない。
GMがPLを苦しめてその様を楽しむようなゲームではないはずなのだ(注5)。

今回のソウさんはネクロニカというゲームにはまりすぎた結果、PLを楽しませるという本分を失ってGMをしてしまっていたように感じる。
GMは、PLがいて、PLが楽しんでくれなければ次のセッションができないということを肝に銘じてほしい。
フィロス自身も、それは常に自分に言い聞かせながらやっていることだ。

……今回の感想戦で、PLが一切シナリオについて感想を言わず、戦闘データのことしか話していなかったことにソウさんは気付いただろうか。
戦闘だけでいいのなら、今回のGMはソウさんではなく、敵データをまとめた本だけ置いてあればいいということになってしまう。
それはあまりにも悲しいではないか。
ソウさん自身はフィロスにも他の誰にも出せない味と色があるのだから、そこをもっと磨いて
「次回もソウさんの卓でゲームがしたい」
「またソウさんこのゲームでGMしてよ」
と言われるようなGMを目指してほしいものである。

また、フィロスもそういうGMを目指したいと思う。
……愚痴から無理矢理建設的な方向に話をまとめたところで今回の感想はおしまい。






(注1)ネクロニカ:永い後日談のネクロニカ。
メイドRPG、ゆうやけこやけ、絶対隷奴などを製作しているつぎはぎ本舗さんの最新作。

人類が核戦争で滅びた後の世界で、ネクロマンサーと呼ばれる超越者の掌の上でもてあそばれるドールとなって遊ぶTRPG。
戦いを繰り返すことで次第に明らかになっているドールたちの過去。
狂わないように一緒にいる姉妹たちとのお互いの傷をなめ合うような対話。
とても雰囲気のある一品。
つぎはぎ本舗にしては珍しく専用HPがある。
以下がURL。
なお、行けばわかるが、15歳以上推奨するぐらいにはグロテスク。
見るときはご注意を。
http://www.nechronica.com/

(注2)ドール:ネクロニカの世界では普通の生物は死滅している。
ナノマシンなどの超科学によって改造された「アンデッド」のみが生存し、活動している。
アンデッドを生み出す技術を持っているものが「ネクロマンサー」と呼ばれる。
ネクロマンサーに愛玩用に生みだされた少女型アンデッド、それがPCでもある「ドール」たちである。

ドールたちはアンデッドのため、多少の攻撃ではびくともしない。
また、手足や頭が千切れた程度では活動停止しない。
両手足がもがれて顎だけになったとしても戦闘を継続できるのだ。

ただ、その頑丈さは逆に脆い心を浮き彫りにしたりするのだが……。

(注3)狂気点:この狂った世界で、PCたちは仲間との絆を支えにして生きている。
狂気点はふりなおしができるヒーローポイントだが、ゲーム中に恐ろしいものを見たり、失った記憶の欠片が蘇るときなどに増える。
仲間1人につき4点まで狂気点が溜められる。
また、仲間との対話をすることによって狂気点を少しだけ下げることができる。

当然だが、ある一定以上たまると発狂して不利益な効果が発生する。
そのあたりのバランスは難しいところだ。

(注4)比較的まとも:他のサンプルキャラクターは顔につぎはぎがあったり、腕が4本あったり、目に大穴空いてたりする。
それに比べたら、『美しい人形である』という能力を持っているしかばねソロリティは比較的まともだった。
それでも脚から皮膚破って釘出てたりするけどね(苦笑)。

(注5)GMがPLを苦しめてその様を楽しむようなゲーム:先日やったハンターズムーンは比較的そういうゲームである。
GMの作ったモノビーストとPLのハンターのガチ戦闘ゲームである。
モノビーストはハンターを無慈悲に喰い殺すことが推奨されている。
もちろん、そうじゃないゲームもできる。
by phirosu2 | 2012-01-29 23:17 | ネクロニカ | Comments(0)
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